YDFLP-E-30-LP-S(30W LP / Q-Switch)パラメーター設定の基本とコツ
YDFLP-E-30-LP-S は、パルス幅固定(約200ns)のQスイッチレーザーです。MOPAのようにパルス幅を可変して“性質を切り替える”ことはできません。その代わり、周波数 1〜600kHz の広いレンジを使って、加工の性質を調整します。初心者でも扱いやすいように、設定のコツと用途別レシピをまとめています。
STEP 1:まずは“基準レシピ”から始める
LPシリーズは MOPA ほど可変要素が多くありません。そのため、まずは推奨レシピをそのまま打って基準を作ることが重要です。
- 例:SUS黒化 → 30kHz / 60% / 200mm/s / ハッチ 0°+90°
- 基準を作ることで、どこを変えればどう変わるかが分かるようになる
STEP 2:最初に触るのは “速度(Speed)”
速度は結果の変化が最も分かりやすい項目です。まず速度だけで濃さを調整します。
- 濃い / 焼ける → 速度を上げる
- 薄い / 浅い → 速度を下げる
STEP 3:次に Power を調整
速度で調整しても足りない部分を Power で補います。+5% / -5% が基本です。
STEP 4:周波数(kHz)は“仕上げの微調整”に使う
- 低周波(1〜100kHz):濃い / 深い / 黒寄り
- 中周波(100〜300kHz):バランス重視
- 高周波(300〜600kHz):白っぽい / 明るい / 熱が広がる
※ LP-S は MOPA と違い、白を強めるには“周波数”で調整する。
STEP 5:ハッチは 0°+90° が基本
1方向だけだとムラが出やすいため、0°+90°の2方向ハッチを基本とします。
STEP 6:良い条件は必ず写真+数値で保存
加工結果の写真、条件(Freq / Power / Speed / Hatch)をセットで残すと“自社レシピ集”が自然に蓄積します。
用途別|YDFLP-E-30-LP-S 推奨パラメーター
LP(Qスイッチ)はパルス幅固定のため、調整の主体は 周波数・出力・速度 です。以下は初心者でもそのまま使える安定レシピです。
① SUS / 鉄の黒化マーキング
| 周波数 | 20〜60 kHz |
| 速度 | 150〜300 mm/s |
| 出力 | 60〜80% |
| ハッチ | 0° + 90° |
| ハッチ間隔 | 0.02〜0.03 mm |
| 備考 | LPはMOPAほど深い黒にはならないため、低周波寄りが安定。 |
② SUS / 鉄の白マーキング
| 周波数 | 200〜400 kHz |
| 速度 | 400〜800 mm/s |
| 出力 | 30〜50% |
| ハッチ | 0° + 90° |
| ハッチ間隔 | 0.03〜0.04 mm |
| 備考 | 白が弱いときは周波数を 400〜500kHz に上げる。 |
③ 浅い彫刻(SUS / 鉄 / 真鍮)
| 周波数 | 30〜80 kHz |
| 速度 | 150〜250 mm/s |
| 出力 | 80〜100% |
| ハッチ | 0° → 90° → 45° |
| ハッチ間隔 | 0.02 mm |
| 備考 | 深くしたい場合は速度を落とす。周波数を下げると彫りが強くなる。 |
④ 黒アルマイト剥離
| 周波数 | 150〜300 kHz |
| 速度 | 500〜900 mm/s |
| 出力 | 40〜60% |
| ハッチ | 0°(1方向でも可) |
| ハッチ間隔 | 0.03 mm |
| 備考 | 白濁する場合は周波数↑、剥離不足は出力↑ or 速度↓。 |
⑤ PEEK・樹脂の薄い文字(焼けを抑える)
| 周波数 | 300〜600 kHz |
| 速度 | 600〜1200 mm/s |
| 出力 | 10〜30% |
| ハッチ | 0° |
| ハッチ間隔 | 0.04 mm |
| 備考 | 白化しやすいため高周波+低出力が基本。熱で溶ける場合は速度↑。 |
⑥ 真鍮(黒〜濃い茶)
| 周波数 | 20〜50 kHz |
| 速度 | 200〜350 mm/s |
| 出力 | 70〜90% |
| ハッチ | 0° + 90° |
| ハッチ間隔 | 0.02〜0.03 mm |
| 備考 | 黒が薄いときは周波数を20〜30kHzに下げる。 |
⑦ 精密薄彫り(熱影響を抑えた細かい彫刻)
| 周波数 | 200〜300 kHz |
| 速度 | 600〜1000 mm/s |
| 出力 | 20〜40% |
| ハッチ | 0° |
| ハッチ間隔 | 0.01〜0.02 mm |
まとめ:LP-S(Qスイッチ)の調整ポイント
| ① | 基準レシピ → Speed → Power の順で調整 |
| ② | 周波数は最後の微調整(黒=低、白=高) |
| ③ | ハッチは 0°+90° の2方向が基本 |
| ④ | 良い条件は必ず保存して“自社レシピ集”を作る |
