YDFLP-E-60-M7-M-R(60W MOPA)パラメーター設定の基本とコツ
YDFLP-E-60-M7-M-R は、JPT M7 シリーズの 60W MOPA レーザーで、
パルス幅と周波数を広く可変できることが最大の特徴です。
黒化・白マーキング・高速薄膜除去・精密彫刻など、幅広い加工に対応できます。
ここでは初心者でも迷わず使えるように、設定のコツと用途別の具体レシピをまとめています。
1. M7(MOPA)の特徴
- パルス幅:2ns〜500ns(超短パルス〜長パルスまで幅広い)
- 周波数:1〜4000kHz の広レンジ
- 短パルス:黒化・薄膜除去に強い
- 中パルス:彫刻・汎用マーキング向き
- 長パルス:白マーキング・熱加工に向く
- MOPAは「加工の性質」を作り込めるのが最大の強み
2. パラメーターの触り方
STEP 1:まずは「基準レシピ」で 1 発打つ
いきなりゼロから作らず、まずは基準値をそのまま打ちます。
- SUS黒化の基準:13ns / 1500kHz / 70% / 250mm/s / 0°+90° / ハッチ間隔 0.02〜0.03mm
- ここから調整すると、原因が分かりやすい
STEP 2:最初に触るのは「速度(Speed)」
- 黒が薄い → 速度を下げる
- 焼ける/にじむ → 速度を上げる
STEP 3:次に Power を調整
速度の次に触るのは出力(Power)。±5% で微調整。
STEP 4:周波数(kHz)は“仕上げ”に使う
- 低周波:黒い/深い/シャープ
- 高周波:白い/浅い/熱が広い
STEP 5:パルス幅(ns)は「加工の性質」を決める
- 短パルス(2〜20ns):黒化・薄膜除去・精密加工
- 中パルス(20〜60ns):バランス型
- 長パルス(80〜500ns):白マーキング・熱処理
STEP 6:ハッチは 0°+90° が基本
ムラ防止のため 2 方向ハッチが基準。深彫りは 45° を加えて 3 方向に。
3. カットオフ周波数(M7の重要ポイント)
M7 はパルス幅によって「安定して出力できる最低周波数(カットオフ)」が変わります。
この値より低い周波数では出力が落ちるので注意してください。
| 2ns |
≒ 2500kHz 以上 |
| 6ns |
≒ 1800kHz 以上 |
| 9ns |
≒ 1500kHz 以上 |
| 13ns |
≒ 412kHz 以上 |
| 20ns |
≒ 220kHz 以上 |
| 30ns |
≒ 150kHz 以上 |
| 45ns |
≒ 120kHz 以上 |
| 60ns |
≒ 100kHz 以上 |
| 80ns |
≒ 80kHz 以上 |
| 100ns |
≒ 60kHz 以上 |
| 150ns |
≒ 45kHz 以上 |
| 200ns |
≒ 35kHz 以上 |
| 250ns |
≒ 30kHz 以上 |
| 350ns |
≒ 25kHz 以上 |
| 500ns |
≒ 20kHz 以上 |
コツ:カットオフの「1.5〜2 倍」を最低ラインにすると安定しやすい。
4. 用途別|60W M7 推奨パラメータレシピ
以下は、現場でそのまま使える「安定レシピ」です。ここから ±10〜20% の範囲で調整します。
① SUS黒化マーキング(濃い黒)
| パルス幅 |
13ns |
| 周波数 |
1500〜2000kHz |
| 出力 |
70〜85% |
| 速度 |
200〜350 mm/s |
| ハッチ |
0°+90° |
| ハッチ間隔 |
0.02〜0.03 mm |
| メモ |
茶色っぽい → 周波数を少し下げる(1200〜1500kHz) |
② SUS 白マーキング(明るい白)
| パルス幅 |
60〜100ns |
| 周波数 |
2000〜3500kHz |
| 出力 |
45〜60% |
| 速度 |
500〜900 mm/s |
| ハッチ |
0°+90° |
| ハッチ間隔 |
0.03〜0.04 mm |
| メモ |
白が弱い → 周波数UP(3000〜4000kHz) |
③ アルマイト剥離(黒アルマイト)
| パルス幅 |
6〜13ns |
| 周波数 |
2500〜3500kHz |
| 出力 |
40〜60% |
| 速度 |
800〜1200 mm/s |
| ハッチ |
0° |
| ハッチ間隔 |
0.03 mm |
| メモ |
白濁 → 周波数UP(3500〜4000kHz) |
④ 浅彫り(ステンレス・鉄)
| パルス幅 |
9〜20ns |
| 周波数 |
900〜1500kHz |
| 出力 |
85〜100% |
| 速度 |
180〜280 mm/s |
| ハッチ |
0° → 90° → 45° |
| ハッチ間隔 |
0.02 mm |
| メモ |
深さ不足 → 周波数を低めへ(600〜900kHz) |
⑤ 精密薄膜除去(フィルム・塗装)
| パルス幅 |
2〜6ns |
| 周波数 |
2500〜3500kHz |
| 出力 |
20〜40% |
| 速度 |
800〜1500 mm/s |
| ハッチ |
0° |
| ハッチ間隔 |
0.01〜0.02 mm |
⑥ 真鍮(濃いブラウン〜黒茶)
| パルス幅 |
13〜20ns |
| 周波数 |
800〜1500kHz |
| 出力 |
70〜90% |
| 速度 |
200〜350 mm/s |
| ハッチ |
0°+90° |
| ハッチ間隔 |
0.02〜0.03 mm |
| メモ |
黒を強く → 周波数を 600〜900kHz に下げる |
⑦ PEEK・樹脂の焦げを抑えた薄い文字
| パルス幅 |
60〜150ns |
| 周波数 |
300〜800kHz |
| 出力 |
10〜25% |
| 速度 |
600〜1200 mm/s |
| ハッチ |
0° |
| ハッチ間隔 |
0.04 mm |
5. まとめ:60W MOPA の調整ポイント
| ① |
基準レシピ → Speed → Power → Frequency の順で調整 |
| ② |
パルス幅は“加工の性質”を決める最重要項目 |
| ③ |
カットオフ以下にしない(出力低下の原因) |
| ④ |
ハッチは 0°+90° が基本。深彫りは 45° を追加。 |
| ⑤ |
良い条件は写真+数値で保存し、自社レシピ集を作る |